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発達障害の悩み|よくある悩み Q&A|つなぐママサポ

発達障害の悩み

発達障がいって何ですか?
発達障害者支援法において、「発達障害」は自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他のこれに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現されるものと定義付けられています。
発達障がいの方は他者との関係づくりやコミュニケーションなどが苦手とされますが、優れた能力を持ち合わせていることもあり、周囲からはそのアンバランスさが故に理解されにくい障がいでもあります。社会の中で成長や自立をしていくためには、当事者やその家族のサポートだけでは限界があります。まずは、当事者やその家族を取り巻くすべての人が、その人を認め温かく受け入れていくこと、障がいに対して正しい知識を身に付け理解すること、そしてその人に合った適切なサポートを協力して行うことが大切です。
発達に心配や不安がある場合には、一人で悩まず、まずは住んでいる自治体の発達相談窓口に相談してみましょう。その他、地域の発達障害者支援センターや保健センターでも相談に応じてくれます。
場合によっては発達障がいの専門外来を受診することも必要ですが、専門医が少ないことで受診までに時間がかかることが一般的です。待つだけでは果てしなく感じてしまうので、まずはかかりつけ医や発達相談窓口などに生活の悩みや困りごとを相談し、できる取り組みから開始してみることをお勧めします。

〈 発達障害の種類 〉

グレーゾーンと聞くのですが、
発達障がいとは違うのですか?
「グレーゾーン」とは、発達障がいの症状や特性が見られるものの、診断基準をすべて満たしていないために確定診断が出ていない状態のことを指し、「グレーゾーン」という正式な診断名ではありません。
そもそも診断名をつけにくい理由があります。
まず、発達障がいの診断は、数値基準が存在するわけではなく、主に日常生活や社会生活の困難さを確認する等の問診や検査等の結果から総合的に判断することで行われます。また、発達障がいの特性の出し方は、個々人によって濃淡であったり、環境(置かれている状況や人間関係)や年齢等によっても変化します。そのため、断定を避け「グレーゾーン」や「〇〇の傾向がある」と表現することも多いようです。
ただ、障がいの診断基準をすべて満たしていないからといって症状や特性が軽いとは限らず、実は診断名がついている方よりも社会生活の困難に陥っていることが多いと言われています。しかし、確定診断がついていないからと言って何も配慮が得られないわけではありません。
確定診断がついていない場合、障害者手帳の一つである療育手帳の取得はできませんが、手帳取得により生活の困難さが軽減されることが認められれば診断書を出してくれたり、行政サービスに関しては医師の意見書があれば利用できることもあります。また、令和6年4月より合理的配慮が義務化されました。
合理的配慮を受ける対象者は、障害者手帳の有無は関係ありません。
グレーゾーンの方であっても、職場や学校へ配慮を求めることは可能となります。
お友達と一緒に遊ばず、
いつも一人でいます。
心配です。大丈夫でしょうか?
まず、お友達と遊ばないことは、別に悪いことではないことをお伝えします。
お子さんによっては一人で黙々と遊んでいるほうがよいお子さんもいらっしゃいます。「お子さんが今、どのように遊びたいのか」を尊重すればよいかと思います。
しかし中には、本当はお友達と遊びたいのだけど、お友達の輪に入っていくことに不安や心配ごとがあり、勇気が出ない場合もあるかもしれません。集団活動の中で主となるスキルは、「ことば」と「社会性」です。
以下は、その2点の対応に的を絞ってお話ししていきます。
まず、言葉の成長に必要なことは、単語力を増やし話すことを楽しむこと、話をする体験を通して人に「分かってもらえた」という充足感を与え、話すことに自信を持ってもらうことです。そのためには、一番安心できる家族でたくさん会話をすることを通して、事物や出来事に関する言葉の理解や表現方法を教えていくことも効果的です。また、特に語彙力を伸ばすには単語カードや絵本を用いて、意図的に普段使わない言葉に出会うこともよいでしょう。
次に社会性についてです。遊びたいけど交ざることに不安があるお子さんであれば、一人で乗り越えることは難しいです。保護者や保育園の先生など、身近な大人が一緒に加わり、一緒に楽しみながら集団で遊ぶ経験を増やしてあげましょう。また、お子さんが保育園に通っている場合は、大人に助けを求める方法などを教えてあげることも効果的かと思います。
他の子が使っているおもちゃを
取ってしまったり、
理由もなく叩いてしまうことがあります。
どうしたらよいでしょうか?
自分の感情をコントロールしたり、咄嗟に言葉で伝えることが難しいために、おもちゃを取ったり、理由もなく叩いてしまうお子さんがいます。
まず、お子さんがどうしてそのようなことをしてしまったのか、その時の状況や理由を知ることが大切です。
そして頭ごなしに叱責するのではなく、お子さんがそのような行動をとった理由や想いを受け止めたうえで、今後どのように行動すればよいかを具体的に教えてあげることも効果的かと思います。
落ち着きがないように感じるのですが、
ADHDでしょうか?
確かにADHDの代表的な特徴の一つに「落ち着きがないこと」が挙げられていますが、落ち着きがないからADHDであるとは限りません。お子さんにとって危険な行動をした際にはすぐに止める必要がありますが、そのような状況でなければ、なぜそのような行動をとるのか理由を考えて対応することが大切です。
落ち着きのない行動をとるには様々な理由があります(例えば、目の前のものが気になる、嫌な状況から出たい、何をしたらよいか分からない、注意引きなど)。何か嫌なことがあって落ち着かない場合には、まずはお子さんに寄り添い気持ちを受け止めてあげましょう。また、お子さんが何をしたらよいか分からず落ち着きがないのであれば、するべきことを具体的に伝えてあげてください。
落ち着かないお子さんは、おのずと叱られることも多くなりがちです。大人側がどんな些細なことも見逃さず、褒める意識を持つことが大切です。
予定の変更があると、
パニックになります。
どうしたらよいでしょうか?
いつものやり方にこだわるお子さんは、見通しが立たない、あるいは予測していたことと異なると不安が高まります。その理由として、見通しが立てられず不安な気持ちだけが高まり、これからどのように対処すればよいかを想像することが難しいためとされています。
予定の変更が生じた際には、事前にお子さんにそのことを伝え、そしてどのように行動するかを具体的に伝えましょう。また、伝える際の工夫として言葉だけの説明ではなく、写真や絵カードなどを添えて伝えると理解しやすいです。丁寧に段階を踏むことで、お子さんの不安を和らぐことが期待できます。
しかし、もしやむを得ず急な変更が生じた際には、段階を踏んだ対応をしてもお子さんの混乱が大きいかもしれません。その際は無理強いをせず、予定を調整し直す判断も大切です。
声をかけても切り替えないため、
こちらで切り上げてしまうと
毎回癇癪になります。
何か方法はないでしょうか?
癇癪とは、大声を出す、物を投げる、暴れるといった、感情の爆発に伴う行動のことを言います。
癇癪は成長に必要なことでもあるため、そのこと自体が悪いことではありませんが、繰り返されることで大人側が悩んでしまうと思います。
癇癪の原因は様々ありますが、今回の質問の場合は、自分の思い通りにならなかったこと、咄嗟に自分の気持ちを伝えられなかったことが原因と考えます。そのようなお子さんは、見通しを立てることが苦手な可能性があります。その場合に大切なことは、事前にお子さんと大人との間で終了時間などの約束を決めて、やるべき行動の見通しを立てることです。その際、大人の都合を押し付けるのではなく、お子さんの意見も取り入れてあげてください。そのためには、お子さんの行動を見越したうえで事前に声をかけると、その後の時間にも余裕をもてるかと思います。そして終了時間に対して、心の準備をしてもらうことも大切です。突然終わりを告げられると動揺してしまうため、「今、〇時〇分だからね。あと、〇分でおしまいにしてね」「あと、〇回声をかけられたら終わりにしようね」など、少しずつ予告をしてあげることも効果的です。
それも約束事を決める際に、一緒に話しておくとよいでしょう。それでも切り替え時に愚図ってしまうこともあるかとも思います。その際は、お子さんの気持ちを代弁してあげることや、それでも切り替えられたことに着目し、褒めてあげてください。
おもちゃを使って遊ぼうとせず、
車のタイヤをいじったり、投げたり
しています。
どのようにして、
遊び方を教えていけば良いですか?
発達障がいのお子さんの中には、周囲に興味・関心がないなどの理由によりおもちゃに気持ちが向かないことで、おもちゃを使って遊ぶことができないお子さんもいます。しかし、おもちゃに興味を持たない、本来の使い方で遊ばないなどということは決して悪いことではありません。そして投げる理由にもよりますが、もし楽しむ様子でおもちゃを投げているのなら、今は投げることに楽しさを感じているのかもしれません。
硬い素材のおもちゃを一時的に取り除き、柔らかく当たっても怪我をしない素材のおもちゃを与え、たくさん賞賛してあげてください。遊び方を教えて興味の幅を広げることも大切ではありますが、今お子さんが夢中になっていることを共有し一緒に遊ぶこと、そして、お子さんが自信を持ってやれていることを認めることで更に自己効力感を伸ばすきっかけとなります。
特定のおもちゃでしか遊ばず、
興味の幅が広がりません。
お子さんが特定のおもちゃで遊び続けることは、じっくり遊び満足感を味わうという点では、今後の遊びを発展させていくうえでとても大切なことです。まずは、一つのものを大切に使っているお子さんの気持ちを褒めてあげる気持ちでいましょう。
一方、子どもが他のおもちゃに関心が向きにくい理由は、遊び方が分からない、遊び慣れたおもちゃを持つことで安心するなど、様々な理由が考えられます。理由があって特定のおもちゃで遊ぶわけなので、まずはお家では類似したおもちゃを与え、少しずつ変化をもたらしながら違いに慣れさせていくこと、同時に子育て支援センターなどを利用し様々なおもちゃに触れる経験を増やしてあげるとよいかと思います。
お子さんの好きなものを知ることで、他の遊びへ興味関心を広げる手助けをしてあげましょう。
また、見慣れないおもちゃに不安を感じてしまい、いつも同じものであることに安心を感じるお子さんもいます。その場合は、お子さんの気持ちの安定を一番に考えてあげてください。
無理強いはせず、慣れた環境のなかで少しずつ新しいものを加え、その反応に応じてその後の対応を考えるようにするとよいかと思います。
音にとても敏感なことが気になります。
音そのものが苦手である、または特定の音を嫌がるお子さんがいます。
例えば、救急車などのサイレンやドライヤー、食器が擦れる音や賑やかな人の声、スーパーの騒々しい音など、人によって苦手な音は様々です。まずはお子さんが苦手とする音を把握することが大切です。
このようなお子さんには、耳栓やイヤーマフなどにより雑音を遮ってあげると安心して過ごせることがあります。また、こちらが苦手な音を把握していれば、お子さんの前ではその音を極力出さない、音を吸収するものを用いる、苦手な音が出やすい場所は避けるなどの対処を事前に行うことができ、話しかける時には静かな声で話すなどの工夫を用いることもできます。
音に敏感である背景には、発達障がいだけでなく、強い不安などの心的ストレスや耳の機能が原因であったり、様々です。いずれにせよ共通して言えるのは、私たちが想像する以上にとてもストレスを感じているため、お子さんが安心して落ち着いて過ごせるよう環境を整えることが大切であるということです。